従業員持株会を辞めた理由をご紹介します。
従業員持株会とは
一言で表すと、「毎月の給料から一定額を天引きして持株会に拠出し、自社の株を代わりに買ってもらう制度」のことです。
例えば、毎月1,000円を拠出する場合、給料日に持株会が1,000円分の株式を購入します。購入時の時価が1,000円/株なら1株、2,000円/株なら0.5株が自分の保有株(持ち分)となります。
会社側は下記のようなメリットがあるため持株会入会を勧めてきます。
安定株主の確保
従業員に会社への帰属意識・責任感を持たせる
福利厚生充実として社外(入社希望者)にアピールできる など
では、従業員にとってはどのようなメリットがあるのでしょうか?
従業員持株会に入会するとたくさんのメリットある
①会社から持株会奨励金が支給されるので拠出額より多く株が買える
②毎月給与から天引きされるので資産形成が楽になる
③少額でも単元を気にせず投資できる
④ドルコスト平均法で購入時期を気にせず投資することができる
⑤会社の業績を上げれば株価の値上がりが期待できるので仕事へのモチベーションが上がる
⑥会社への忠誠心を示すことになり、昇進につながる可能性がある
など
最大のメリットはやはり①の持株会奨励金で、従業員であることの特権だと思います。その他はおまけです。
持株会奨励金とは、会社毎に制度は異なりますが、持株会に拠出する金額に対して10%会社が購入補助をしてくれるものです。
例えば、1,000円拠出し、10%の持株会奨励金を得たとすると、会社で1,100円分の株を買ってもらえると言うことになります。
この持株会奨励金の効果は大きく、購入後株価が10%程度値下がりしたとしても、持株会奨励金でほぼ吸収できる形になり、個人で買うより損が出にくいことになります。
私もこの奨励金目当てでリスクの少ない投資ができると思い、特にデメリットを気にせず入会しました。
従業員持株会の致命的なデメリットを気にしていなかった
逆にデメリットは下記の通りとなります。
①会社の業績悪化や倒産した時、収入と資産を両方失う
②購入・売却するタイミングが機動的に選べない
私が致命的なデメリットだと感じたのは①業績悪化や倒産時のリスクです。
自分の勤めている会社の株を買うということは会社と運命共同体になる事です。業績が良ければ株価上昇・給料や賞与も増えて幸せになれます。自分が勤めている期間中、業績と株価が安定or右肩上がりなら、定年退職する頃には莫大な利益を得ることができるでしょう。
しかし、どんな会社も永久に繁栄するとは限りません。将来安泰の一流企業と言われた東電や東芝も没落しました。業績不振になれば株価下落・給料カット・賞与無し、最悪の場合、株価0円&リストラされるかもしれません。
若ければまだやり直しが効きますが、中高年だと確実に人生設計が狂います。
コロナショックが転機になった
コロナショックは私の会社の勤めている業績にも大きく影響を与えました。賞与は減額、経費のコスト削減が急速に進みました。
持ち株も一時期は株価が半額以下になりとんでもない含み損を抱えることになりました。
幸いリストラは実施されず、事業は存続しましたが、これがきっかけで持株会を続けることのリスクついて真剣に考える事になり、結果として持株会を脱会することになりました。
今では全株売却し、リスク分散を目的として別の株式の購入資金にしています。
勤め先に投資しない方がいい
以上のように業績悪化や倒産のリスクを考えると、私は従業員持株会に入会すべきでないと考えます。たとえそれがコカ・コーラやP&Gなどの超優良企業であってもです。
「従業員持株会入会は当然」「みんなも入会している」という職場環境ならば、後ろめたさもあるでしょう。しかし、従業員持株会は投資でありリスク資産です。自分の資産を守れるのは自分しかいません。
手遅れになる前に勇気をもって他の人とは違う道を進むのも時には大事だと思います。